■故郷である京都、福知山への想い「笑顔を返してもらうために頑張る」

――中山社長は京都府福知山市のご出身ですが、地元の良いところ、好きなところを教えてください。 中山 福知山の周辺は海の物、山の物、地の物、すべての食べ物がめちゃくちゃ美味しいんですよ。これは日本で一番だと思っています。黒毛和牛の産地でもありますし、舞鶴のほうから松葉ガニも入ってきます。福知山では松茸や京野菜もつくっています。 私自身、食べることが好きなので全国各地に食事をしに行くんですけど、京都府北部は美味しいものが多いエリアだという気がします。 ――「京都のリーダー」と聞いて思い浮かべる人を教えてください。 中山 京セラや第二電電(現 KDDI)の創業者である稲盛和夫さんですね。「動機善なりや、私心なかりしか」という言葉は私の心にも刻まれていまして、事業をするときには、その動機は善か、私心がないかと言い聞かせながら取り組むようにしています。 稲盛さんや、同じく京都出身である堀場雅夫さんの著書は読んで参考にしていますし、先人に素晴らしい商売人が大勢いらっしゃることは、我々にとって非常に大きなメリットだと思います。 ――中山社長が京都に還元したいこと、京都を変えていきたいことはございますか。 中山 福知山には昭和初期から続く大規模な花火大会があったのですが、2013年に事故が発生して以来、中止となっていました。それが2024年、十数年ぶりに復活したのですが、地元でなかなか協賛が集まらなかったので、アシロ社がメインスポンサーを務めさせていただきました。 京都や福知山に限らず、日本のお祭りや花火大会はコンテンツとして興味深いなと思っていて。現状では地元の企業からしか協賛を集められず、存続が難しくなっているお祭りや花火大会がけっこう多いんですよ。そうしたお祭りを「コンテンツ」として捉え直し、地元だけではない大きな企業にスポンサーとして協賛してもらったり、チケット販売といったプレミア化による性が図れたりします。日本の文化継承のためにも、お祭りや花火大会のカルチャーはなくさないほうがいいと思いますので、我々の事業を通じた還元方法を模索しています。 また、福知山のような人口減少が進む地域では、学校単位での部活動の運営が難しくなっており、休日の部活動を民間団体が行う地域移行の動きが進んでいます。そういった取り組みにも連携できれば非常に有意義だと考えています。これは会社としては難しいかもしれないですが、個人でのふるさと納税や寄付などを通じて、必要な用具などの支援ができればと考えています。 養護施設などへの支援についても、継続的にやれる範囲でやっていきたいと考えています。社会的なインパクトを考えるとインパクトファンド(社会や環境を良くすることを目的とした投資ファンド)をやったほうがいいと思うのですが、見える範囲の中で手助けをして笑顔を返してもらうほうが頑張ろうと思えるタイプなので、学校の支援などでできることがあればぜひ協力したいですし、それが世の中に迷惑をかけ続けている私の、せめてものつぐないだと思っています。 ――10年後のアシロ社がどのようになっていたいかを教えてください。 中山 今より大きくなっていることだけは決めていますが、それ以外の細かいことはあえて決めていません。誰にも分からない、想像もできないことですから。まずは100億円程度の営業利益を出すところまで進めていきたいと思っていますし、経営会議ではすでにロードマップを引いており、外部の方々の想像をはるかに超えるスピード感でそこに到達することをイメージしています。 ――その中で中山社長ご自身は何をなすべきだと思っていますか。 中山 会社を大きくすることに集中し、フルスロットルで走り続けたいと考えています。日和ったり、集中できなくなったりしたら経営者を辞めたほうがいいと思っているので、人に迷惑をかけないように意識しつつ、全力でアクセルを踏み続けていくつもりです。そして頂上に到達したら次に登るべき山を探し、いったん下山して、さらに大きな山に向かっていくことをやり続けるつもりです。 【関連リンク】 株式会社アシロ https://asiro.co.jp/